2026年度看護管理塾 第2章
「マネジメントに取り組む」を終えて
ファシリテーター 井部俊子
この章を担当して3回目となりました。今回は内容・構成を少し変えました。①キャリア・アンカーの説明だけでなく、キャリア・サバイバルという概念を追加しました。②「ミンツバーグ」削除しました。③プレイヤーからの移行期にある「突然化」の説明資料として看護のアジェンダ第239回「ある日、看護師長になる。」を追加しました。④順番を変えて、「マネジャーの挑戦課題」を講義の最後に移動して、「チームでのワーク」につなげました。
塾長のあいさつでは、2026年度6月の診療報酬改定に伴い、点数を取ることだけでなくその意味を考えて、ケアの質の向上を図るべきであると指摘されました。
キャリア・アンカーの自己診断の結果は、興味深いものでした。「奉仕・社会貢献(SV)」にアンカーを置く人が14人(30%)を占め、次いで「生活様式(LS)」が13人(28%)、「自律・独立(AU)」が6人(13%でした。マネジメントの研修ですが「経営管理能力(GM)」にアンカーを置く人は1名でした。
キャリア・アンカーは、自分の内なる声を内省しながら聞く(インサイド・アウト)ことであり、キャリア・サバイバルは、外から自分に向かう声を変化の中で整理する(アウトサイド・イン)であることを説明しました。
エグゼクティブプレゼンスも興味深い概念です。日本語に直訳すると「重鎮のありよう」になります。出典では「リーダーらしさ」と表現しています。「威厳(自信、決断力など)」、「コミュニケーション(巧みな話術、場・ズーム会議を仕切る能力、”耳を傾け学ぶ”姿勢、相手・空気を読む力など)、「外見(洗練、身だしなみ、本人らしさ、健康的・活力など)の三要素を知っておくと今後、役に立つでしょう。
マネジャーの挑戦課題では、各チームで困難度を評定してもらいました。チームで最も高得点であった項目をとり上げて、その対策を討議して発表してもらいました。困難度の高いとされた項目は、「政治交渉」が4チーム、「多様な人材活用」が2チーム、「部下育成」が1チームでした。発表は、「政治交渉」対策と「多様な人材活用」対策の二項目について計6チームが行い、議論しました。各チームの発表概要を下記に示します。これらの記述は若命真裕子さんとボランティアの皆さんの協力を得ました。
各チームの発表の概要は以下の通りです。
・チームB(政治交渉):検査数増加に対し、人員不足の中で業務を回す困難さを提示しました。対策として、客観的データを収集して看護師業務を整理し、他職種への業務移管や日頃のコミュニケーションを通じた関係構築、他者の立場を理解する努力の重要性を挙げました。
・チームG(政治交渉):医師の褥瘡回診と看護業務の調整など、多方面との交渉の難しさを挙げました。対策として、データに基づいた事前準備、上位者のパワーの活用、根回し、互いのメリットの提示、そして交渉スキル自体の向上を重視する意見が出されました。
・チームA(政治交渉):リハビリスタッフが急変時対応のコールを認識していなかった事例を通し、他部門との情報共有や、機器使用の徹底に関する交渉の難しさを議論しました。決定権者やキーパーソンを特定して味方を作ること、客観的に状況を伝えるコミュニケーション能力を磨き、組織的に解決を図る必要性が示されました
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・チームD(政治交渉):生体モニター改善WGでの予算外の物品購入交渉の失敗事例を基に、明確なゴール設定と費用対効果の提示の必要性を指摘しました。キーパーソンの把握や事前の根回しに加え、日々の丁寧な対話を通じて顔の見える関係を築いておくことが、交渉の土台になると結論づけました。
・チームC(多様な人材活用):年上の部下や、働き方の異なる多職種との関わりに焦点を当てました。相手の強みを尊重し、共通の目標を共有してWin-Winの関係を築くことを提案。困難な相手からも逃げずに歩み寄り、目を見て対話する姿勢がマネジメントには不可欠だと語られました。
・チームH(多様な人材活用):知識や経験は豊富だが態度に問題のある年長者や、業務制限のある妊婦・時短者の活用について討議しました。個々の強みを引き出す視点や、時短者の業務範囲の明確化、経験者による相互理解の促進を対策に挙げ、多様な人材を見極めて力を引き出す管理の重要性をまとめました。

