2024年度看護管理塾第2章「マネジメントに取り組む」を終えて
ファシリテーター 井部俊子
「マネジメントに取り組む」を、今回から私が担当することになりました。構成はできるだけシンプルにしたいと考えて準備しました。プレゼンテーションの骨格は三点です。まず自分のキャリア・アンカーを知ること、何をすることが「マネジメントに取り組む」ことなのかを知ること、マネジメントに取り組んでいこうという覚悟ができることを目指しました。
キャリア・アンカーの自己診断には、シャインのキャリア指向質問票を解題して作成された簡便なワークシート「自分のキャリア・アンカーを見つけよう」(濱田,2018)を用いました。受講生各人は、そもそも「管理」にキャリア・アンカーを置いているのかを確認することから始めようと考えたわけです。8種類のキャリア・アンカーのなかで、「経営管理能力」にアンカーを置く人は少数でした。というわけで、自分のアンカーを確認して次に進むことにしました。
マネジャーになっていくプロセス、マネジャーが経験しなければならない変化(学び)、マネジャーとはどんな仕事をしているのか、プレイヤーからの移行期を襲う5つの環境変化を説明しました。そして、本日の主題である「マネジャーの挑戦課題」を検討しました。これらは、中原淳著「駆け出しマネジャーの成長論」(増補版、中公新書ラクレ、2021)を参照しています。
マネジャーになっていくプロセスの最初は、マネジャーの仕事とは何かということです。
中原理論こう説明します(ここは私が常に力点をおく所です。)
「最も根源的なこと」は、マネジャーがどんな存在なのかを知ること、そして、マネジャーが実務担当者とは異なることを理解することです。「マネジャーの仕事」とは、「物事を成し遂げる」(Getting things done)ことです。しかも「他者を通して」(through
others)です。つまり、自らは動かないことを求められているのです。しかもマネジャーは「何をなし遂げるのか」を常に自らに問わなければなりません。
私は7つの挑戦課題について、どう挑戦するのかに注目しました。したがってチームでのワークは、挑戦課題の7項目について、各人の困難度を5段階で評価し、チームメンバーの得点を合計した結果から、Theチームが最も困難だと考える項目を選定し、対策を討議して共有することにしました。
ボランティアの名古屋さんが結果得点を整理してくれたので集計表を添付します。赤で示した箇所が困難度が高いとされた項目です。
「部下育成」の困難が最も高かったチームは、FチームとKチーム、「目標咀嚼」はAチーム、「政治交渉」はJチーム、「意思決定」はBチーム、Cチーム、Iチームでした。「マインド維持」はHチーム、「プレマネバランス」はDチーム、Gチームでした。すべての項目に分散していること、困難度の得点がばらついていることでチームの特性もかいまみえました。困難度の高い項目について、どのように対処するかの議論は、看護リカレント教育部News Letterをご覧ください。
ファシリテーター 井部俊子