【塾長 山田雅子より】2025年度 看護管理塾 第1章を終えて

 

2025年度 看護管理塾 第1章を終えて

 

 聖路加の看護管理塾にようこそ!

 第1章はいかがでしたか。

 冒頭でも話をしましたが、教室に入り、自分の席に着き、講座開始までの間、多くの方は黙って正面を向いているか、スマホに目を落とすかなどをされていました。対面で向かい合って座っていても、言葉も心も通っていない様子でした。

 そこから自己紹介を通した「出会い」を考えていきました。まずは少人数で出会い、チームで出会い、そして全体で出会うという流れです。あなたはどのような自分を周囲の人に知ってもらいたかったですか。井部ファシリテータは「自己紹介ではなく、自分の職場の課題を長く語っていた」と指摘していましたね。職場の課題を自己紹介として話し始めたのはなぜでしょう。初対面であろうが、とにかく自分の職場の困りごとについて解決策を聞きたかったのでしょうか。大変困難な職場で頑張っている自分を認めてほしかったのでしょうか。

 看護管理塾では、1年間同じメンバーで対話を通して学び合うことになりますから、参加者同士あるいは参加者とファシリテータが互いの心の距離を近くして、建前ではなく本音で語りあう中から気づきが生まれます。それがナラティブな学習の意味となります。今回、ワールドカフェの第3ラウンドで、同席し合った人同士、試験的に「趣味」を語り合っていました。何を推しているのか聞き、それについてのフィードバックを行っていきます。そうした対話を通して、第2ラウンドまでよりも心が近くなったように感じたという感想が語られました。


効率を重んじる看護師は、時として仕事の話しかしないことがあります。私の体験からもそれは間違いない現象だと感じています。患者を理解する時も、スタッフや上司を理解する時も、看護以外の話が欠かせません。患者への看護もスタッフに対する関りも根っこは一緒だと私は感じています。理解が浅ければ、看護とか支援はできないということです。

出会いは偶然と必然の連なりであり、それが即ち人生なのだと思います。偶然は意図的にマネジメントできませんが、役割を果たすためにさまざまな場面での登場人物と意図的に出会う方法を考えることは、看護管理者にとって重要な意識となります。簡単な例を挙げれば、笑顔で近づいていくのか、怒っていることを露わにしながら近づくのか、誰から出会うとうまく運ぶのか、そしてそうした出会いの方法を誰と相談するとよいのかなど、出会いを巡るさまざまな戦略ポイントが出てきそうです。

そう考えると、出会う際の表情は重要です。今回は多くの方がマスクを着用されていました。学内ではマスクの装着は任意となっています。つけるかつけないかは、ご自身で判断して下さるとよいと思います。看護管理塾は学びの場です。学ぶためには失敗が欠かせません。今まで経験してこなかったことをやってみる場として活用してほしいですね。そしてその成果をニュースレターに投稿してください。また新たな出会いにつながるかもしれません。

楽しみです。


山田 雅子