2024年度看護管理塾 第8章「創造的に取り組む」を終えて
担当:古閑慎一郎
Opening
山田塾長から年頭に感じたことの話がありました
「部下が提案してくることに対して、“無理” “ダメ”と言ってしまったら部下の創造性を阻害することになる。上司の後押しがイノベーションに繋がる」というところが興味深かったと思います。
今回のテーマでの推薦図書である「イノベーションは日々の仕事の中に」の中に「イノベーションの設計者」とういう概念があって、その意味は「他者がイノベーションを起こすのを支援する人」とあります。つまり、マネジャーは他者がイノベーションを起こすのを支援する人でなければいけないわけですね。
山田塾長の話の後、
第7章の「人に仕事を与える・任せる」の振り返りをしました。“たくさんのサルを飼っていたと気付いた”というメンバーもいれば、そもそも“ゴリラの仕事・役割って何か考えさせられた”というメンバーもいたようです。たくさんのサルを飼っていると、長野県にある地獄谷野猿公苑の写真の様に温泉に入って“いい湯だなあ”と茹で上がってしまうかもしれませんので気を付けて下さい。笑
今年のスタートの章、第8章「創造的に取り組む」をスタートしました。
仕事をしていると様々な課題・問題にぶつかり、既存のアプローチでは解決できない・成果が出ない状況が起こります。医療や介護・福祉の様なサービスタイプのビジネスだけでなく、製品開発や製造現場または物流や小売りの現場でも起こるわけです。
そういった複雑性の中で、思考をジャンプして発想する事により、課題や問題をbreakthroughすることを支援するのが「創造性開発」です。
スライドにあったように創造性には2つの側面があります。
先ずは創造性を押しとどめている側面→パラダイム・バイアスフレーミング・メンタルモデル・等と呼ばれる、いわゆる我々が無意識に持つ思考の枠組みです。
先ずはこの思考の枠組みを認知し、破壊したり・突破したり・はみ出したりしない事には、創造性は生まれません。
実習「9ドット」どうでしたか?はみ出しましたか?是非、職場に帰ってやってみて下さい
実施した後で「私たちの仕事の中で、ドットの中だけの世界ってなんだろう?」と話しあっても良いかなと思っています
(一般の企業ではここをしっかりやります)。
次に実際に医療界・看護界でどの様なイノベーションが起こったか?その事例を看護管理塾の卒業生から紹介してもらいました。
「ナースキャップを脱いだナースたち」・8期生
「クリニカルパス」・6期生
「ナースステーションは誰のもの」・6期生
「スマート妊婦イノベーション」・9期生
どれも興味深いイノベーションでしたが、「スマート妊婦イノベーション」の事例で井部さんが言われるように、「何とかしないと」と思うと同時に、そこから抜け出して起業家としてイノベーションを起こすという行動力・突破力は凄いですね!!
一般的には創造性には4つの役割があると言われています(ロジャー・フォン・イーク)
①
探検家→アイデアの素材を捜す役
②
芸術家→素材を独創的なアイデアに変える役
③
判事→独創的なアイデアを評価し、取捨選択する役
④
戦士→「行動の人」アイデアを実践する役
我々を4つの役割を一人で行う事もあり、またはその一つの役割を認識して実践することもある。起業家精神(アントレプレナーシップ)はその4つの役割を一人で実践する事だと思います。とりわけ「戦士」における突破力・行動力はこれからの日本に期待される役割であり、その環境(E)を創り出すことがマネジャーに役割かもしれません。
3つの創造性技法を体験的に学びました
①
Break(壊す)→常識を意図的に壊し、アイデアの梃子にする
②
Reverse(逆転)→対立概念を入れ替え、アイデアの梃子にする
③
Fault(欠点・欠陥)→欠点や欠陥の克服を梃にする
それぞれの手法はアイデアを抽出するための呼び水や梃子(レバレッジ)になる手法です。
それぞれの手法は、ある意味バイアス(規制力)を取り出して、不自由さ(推進力・梃子)を設定し、そこから新しい視点を導くためのツールです。つまり、規制力と推進力を同時に
設定できるというメリットがあります。 3つの手法を体験的に学んだ後、いよいよ「リアルなテーマに対する創造的なアイデアの創出」のセッションに入りました。
それぞれのチームが選択したテーマは以下の様なものでした
Aチーム→“特定共同指導”で指摘された記録作成に時間がとられる
Bチーム→急性期病棟が地域包括ケア病棟に過度に依存している
Cチーム→術後疼痛管理チームのラウンドの時間と労力がかかっている
Dチーム→身体的抑制をゼロにする!!
Eチーム→病棟での(日々の)内服薬管理に時間がかかる
Fチーム→スタッフがどこにいるか探す時間をなんとかしたい!!
Gチーム→看護記録全般に時間がかかるため、患者の(寄りそう)ケアに時間が作れない
Hチーム→Nrs.の負担が大きすぎる 人手に頼るしかない
Iチーム→超過勤務を減らすための取り組み
Jチーム→外来NSにおける検査説明
Kチーム→緊急入院患者受け持ち看護師の負担軽減
それぞれのチームが創造性技法を活用して、なかなか面白いアイデアが出たと思います。
最近の傾向やKeywordは「AI」「ロボット」「Dx」などですが、評価が高かったEチームのプレゼンで井部さんから「そもそも医療者が薬を管理するのではなくて“患者自身が管理するself-care”という発想もあって良いのでは?」という指摘はなるほどと感じました。
そういう意味でも常識リストの中に「内服薬管理は医療者が行うものである」という要素があれば、レバレッジを効かせて新しいアイデアが出るかもしれませんね!!
最後に、前述したロジャー・フォン・イーク(創造性開発の祖)が著書の中で自分自身がある人からの助言を受けたこと強調しています
この世の中には、忍耐に代わるものはない
技量で埋め合わせることは出来ない。技量を持ちながら成功できない人は溢れている
天才で埋め合わせることも出来ない。「天才も人」とは格言にもある
教育で埋め合わせることも出来ない。世の中には、教育を受けた怠け者がいっぱいいる
忍耐と決意だけが無限の力となる
みなさん、アイデアは実践しないと死んでしまいます
是非、戦士になってアイデアを実践しましょう
古閑慎一郎